グルーポン おせち問題に関して思うこと

2011年01月02日

 水匠(みしょう) at 21:00 | Comments(2) | 外食産業の話
新年早々、嫌な記事が飛び込んできた。


現在、テレビCM などでも放映中のグルーポンで
おせちを販売した神奈川県内の会社のおせちがあまりにひどいと
ネット上から情報を得た。


実はこの会社の社長、僕もツイッターでフォローしていたことから
この会社がおせちを作っている事は知っていた。


まさか、こんな形になるとは思っていたなかったが。。。。。




ご存知ない方にも分るように参照すると、
グルーポンで購入したおせち料理がが見本と全然違う!
にも書いてあるように、写真と違う、納期が遅れる、味が悪いという
クレームがあったようだ。


グルーポン おせち問題に関して思うこと
食べ掛けかと思ったが違うようだ。



これに関して、外食文化研究所の元社長、水口氏がインタビューに答えている




グルーポンまるで残飯なおせちの外食文化研究所水口社長にインタビューしてみました





非常に残念な形だが、僕はここで疑問に思った。


グルーポンの仕組みを御存じない方に説明すると
例えば今回のおせちの場合、2万円が半額の1万円になって、
1万円のうち5千円がグルーポン、残りの5千円が水口氏の会社に入ると言う物
(もしかしたら、前例がないと言う事で割合が会社側に有利かもしれないが)

これは当店もグルーポンの担当者が来社して、別件で掲載依頼を
受けたことがあるから分るのだが(あまりにばかばかしくて断ったが)
今回の案件のおせちは非常に原価の高い商品である。



まっとうな商売でおせちを作れば、5千円入ってきても原材料代にもならない。
通常、飲食店の原価率は3割と言われるが
事、おせちに至っては5割オーバーは当たり前。正直者ほど儲からないのだ。
これは、僕も自信を持って言える。


さて、最初に疑問があると書いたが
原価割れ所か、作れば作るほどマイナスになるこのシステムで
何故、こんなに大量の発注をあえて受けたのか?が僕の疑問なのである。


3つの仮説を立てた。


①自分達がどこまで出来るのか試したかった。

ふうどりーむず問題のように、予想以上の反響で、受けた予約を断ることもできず、作らざるを得なかった。

③あまりの反響に、どうせ一過性のものだから大した問題にはならないだろうと踏んで、赤字にならない程度に材料をケチり、入れ物をケチりとりあえず出す分出した。



僕の予想。まずは①で始まり②のようになって、最終的に③になった。

ま、最後の③は材料ケチったとか、入れ物ケチったという以前にあの時期なら追加発注に応じれるところなどないだろうから
被害のない程度にケチったと言うところかもしれない。良い勉強にはなった、程度。



実力試しは良いさ。何事も向上心を持っている証拠だし。
失敗することもあるだろう。いくらこの社長が、巷では良いヒトと言われようと。

ただし、この社長が一つだけ侵した間違いがあるとすれば次の点ではないだろうか。




自分達が出来るかどうかの天秤にお客さんを乗せてしまったこと。

多分おせち作りも、実際には練習だけで初めて本番を迎えたんじゃないかと思う。

分りやすく言えばこう。
県外進出、東京進出したい。
支店を出したいと夢を持ち、それを実行する。
その際、失敗してもダメージを受けるのは社長と従業員だけである。

この場合、はかりにかけているのは自分達自身である。



しかし、今回はそれよりもっと身近な問題だ。
実店舗に当てはめれば分りやすいだろう。
実店舗に次から次に押し寄せるお客さんに、自分達の材料も把握せず
通し続ければ、オーバーワークで従業員も追いつかず
材料も足りず、結果、ロクな仕事にならない。

それだけのことなのだ。

しかし、今回、ネットで販売したことによって
そのイメージが出来ず、入ってくるお客さんの注文をリアルに
自分の肌で感じることが出来なかったために、秤にかけているのが
お客さんだと言うことに気付いていなかった。

これに尽きるのではないかと思う。





ま、言いたいこともたくさんあるが。
辞任してしまった人に何を言っても仕方ない。
辞任することにも違和感があるが、言っても仕方ない。



正直、毎朝8時ごろ
朝はサーフィンで始まると呟き
楽しそうに仕事をしている水口社長には
非常に好感を持っていたので残念である。


同じサーファーとしても、
料理人としても、である。


グルーポンの責任を問う人もいるが
それに関しては門外漢なので良く分らない。
販売個数の強制や製造能力をチェックしたかどうか
商品をチェックしたかどうかなどの経緯が分らないから。



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この記事へのコメント
私もこの記事を見ましたが、写真を見た瞬間、愕然としました。言われる通り原価的にはかなり厳しいと思われます。しかし、こうなる事を承知で強行突破した事が私は気に食わない!何から何まで駄目駄目・・・。失敗は成功の素だと言うが、一度失った信用を取り戻すには時間がかかるだろう。
Posted by 木こり at 2011年01月02日 22:07
>木こりさん

昨年50個作って、今年100個作った僕の感覚からすれば数が倍になっても、時間が倍になると言うことではない。
実質時間は1.5倍くらいしかかからないと思うんです。

ただし、100個が200個になるのは、レベルが違ってくると思う。多分、おせちでそのレベルになると、オペレーションでは片が付かないはずです。

何よりも、作るよりも盛り付けるのに時間がかかる。そして、時間がかかれば商品は劣化する。

今年、昨年と大晦日に寒波が来たので凍えながらも商品の劣化は防げた。しかし、これが気温10度くらいになるとだいぶ違う。

そういうのも含めて考えるレベルにあって初めて500個を受ける事が出来ると思うんです。


単に作って盛るだけではないレベルが。
Posted by 水匠(みしょう)水匠(みしょう) at 2011年01月02日 22:32
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